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33 一歩

「おかんアホやなぁ ホンマ笑うよなぁ……」
 足踏みして、なかなか前に進めないでいる状況に、つい愚痴ってしまう。
 それを見てた一樹が、
「ホンマにアホやでなぁ。そりゃ笑うわぁ」
「ほんま大笑いやで!」
「でもな……笑ってんねんから、そんでエエやん♪」
 その言葉で、比沙子はどれくらい救われた事か……。
 そうやよな。
 次第に元気を取り戻し改めて笑顔になれた。

 そして、早速出版社にお断りの電話を入れようと受話器をとった。
 電話の向こうの出版社の人に、二百万ものお金を用意するのは不可能であることを告げた。
「ローンでと言うやりかたもございますが」
 それでも、比沙子は顔色ひとつ変えずに、もう決して揺るぐことはなかった。
 電話を掛ける前は、チラシの書かれていた『無料で本がだせる…』との歌い文句に納得ができず、説明を問いただそうかとも思っていた。
 でも、問いただしはしなかった。
 これで良いんだ。比沙子の中からは、もう苛立つ気持ちは消えていた。

 今回は確かに本にはならなかった。
 しかし、出版社のチラシを見たのをキッカケにして、いろんな事が重なり、そして出版社の電話によって背中を押してもらい、なんとか原稿と言う形の物を作る事が出来た。
 最初は、それまでも自分には出来ないだろうなと思っていたにも関わらず、いつしか徐々に夢を描き取り組めた。
 その時間が、こんなにも楽しい事なんだと言う事を体験で来た事により知れた。
 そして、それは以前の自分より、少し違った新しい考えを授けてもらえていたのだ。此処から歩ける道もある。
 それは、此処からでないと歩けなかっただろう道なのかも知れない。
 比沙子は受話器に向かって言った。
「此処までで充分満足です。ありがとうございました」比沙子は静かに受話器を置き、真っ直ぐ顔を上げ微笑んでいた。


 **** END ****
 
 
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